つぼぐち祭り 坪口昌恭&山下洋輔 DUO @新宿ピットイン

何ヶ月かぶりのピットインは坪口さん3DAYS最終日の山下洋輔との鍵盤デュオ。2人それぞれのソロピアノから、坪口さんはエレピでラテン風の展開。後ろだったから最初見えなかったのだが、本物のフェンダーローズを弾いてるのかと思ったら KORG KRONOSで弾いててびっくり。中音域の鳴り感がめちゃくちゃリアルで、曲の雰囲気もあいまって初期のチック・コリアみたいだった。山下さんは齢80を超えすっかりおじいさんになっていたが、完全即興パフォーマンスの強度は衰え知らず。生ピアノから繰り出される低音トーンクラスターの残響感が心地いい。

1stセットは坪口さんの心のアルバムという寿限無からの選曲、2ndセットはそれぞれのこれまでのレパートリーを中心に、という流れ。2ndセット初っ端に東京ザヴィヌルバッハのJackson Pollock Programが始まって、懐かしくて思わず声出たよね。これを鍵盤だけのデュオでやるというのは想像すらしてなかったけれど、原曲のコラージュ感をしっかり再現しつつそれを土台として自由な対話の空間が生まれていた。基本的にソロオーダーは決まっていて、2人ともお互いに好きなように弾かせるスタイル。原曲にサックスが入っていたらサックスが欲しくなりそうなところ、坪口さんのリード系音色がその役割を完璧に果たす。そのバックにモジュラーシンセの音色も飛び交って、熱と色彩にあふれた音像にいつのまにか飲み込まれていたようなかんじだ。

そこからのスタンダードMy One and Only Loveの流れにも唸ってしまう。老練にして闊達、円熟を極めた山下さんのピアノでこのメロディを聴けていること自体に感動ものである。あれだけフリージャズで鳴らしていた山下洋輔がある時期からオーソドックスな(フリーに振れる部分はあるにせよ)トリオでスタンダードを弾いているのはなんでなのか、自分が子どものころは不思議で仕方なかったけれど、それはむしろ自分のルーツとして軸として、いつの時代も持っていたものだったのだなと改めて実感するのでした。

今回はタイミング合わなかったけど次はOrtanceも聴きたい!

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