9日目に引き続いての大相撲秋場所。ちょうど1年前と同じように、某F研メンバー+わたくしで秋場所ゥフ開催。今回参加者がさらに増えて総勢8人という大所帯。観戦ツアーとか以外でこんな大連番取ってる人いるのだろうか。
例によっていつもの中華屋行ってから入場。幕下のあたりはスクフェスオフ兼ビールオフやってましたね…。この日正直なところ幕下から幕内まで地味な取組が多く、解説者(何)としては十両以上の力士のルーティーンがむしろ見どころでしたかね。まあだいたいクリリン先生の前日の見どころまとめツイートに書いてますが、そういう観点では琴勇輝は気合い入れの動作と声に加えて立ち合い不成立時の審判長への謝罪の礼、さらには良い押しで完勝という、まさにフルコースを味わうことができたのがまずこの日のハイライトでした。F研公認力士の大道は徳勝龍に敗戦。しかしこれまた地味な取組なことで…
幕内は栃煌山、千代鳳などなど。内容的にも上々で、栃ノ心の力強い寄りなんかはやっぱり印象に残りました。、まあただ、上位の相撲がさっぱり…。琴奨菊は二本差されて構わず立合いの圧力だけで出るも寄りきれず小手投げでなんとか勝ち。豪栄道は終始宝富士にペースを握られ、すぐ右を首に巻く悪癖で自滅。稀勢の里は攻めてはいるもの、もう離れて取っても中途半端、四つでも中途半端。土俵際で腰が落とせないのが致命的。受け流してばかりの鶴竜に土俵際さっと突き落とされて二桁が消える。鶴竜もこんな調子ですし、白鵬以外の上位の目立たなさは今場所相当なもんですね。
本日のメインイベント、白鵬に逸ノ城。この2人が入場してきただけでもう大歓声。ここまで熱気の漲った雰囲気は今までの相撲見物でも初めて。逸ノ城の進撃は本当に見事としか言いようがなく、内容はともかく1横綱2大関を下したという事実は場所前は想像もしてなかったこと。情けなくも鶴竜、稀勢の里、豪栄道が軍門に下り、第一人者白鵬の登場となったわけですが…まあ、逸ノ城に期待するという声も分かる。分かるんですが、今まで相撲をそれなりの期間見てきた者としてはここで白鵬が敗れるということがあれば今まで見てきた30回の幕内最高優勝とは何だったのかということになり、もう何を信じればいいのか分からなくなるかもしれないという恐ろしさがあったわけです。そういう意味で白鵬にはなんとしても勝ってもらわねば困る。こういう気持ちになることがあるとは…それだけの意味を持つ一戦だった。
白鵬は前日が鶴竜が食った変化を警戒してか立合いはそこまで鋭く踏み込まず、しかしそれでもさっと右差し左前褌を果たす。逸ノ城も左の上手を取りに行ってたと思うんだけど、白鵬はすぐに差した右の腕を返してそれを許さない。なんとか取った右下手は逸ノ城にとって生命線だったけれど、白鵬の良い位置の左上手にほぼ殺されており白鵬が動くのを待つしかない状況。向正面側から見てる限りでは白鵬はまずその下手を切りに行くかと思えば、正面側で下手を取り十分の両廻しで引きつけ重い逸ノ城を崩しにかかる。逸ノ城は下手投げで必死に残すものの、白鵬は間髪を容れずに左上手出し投げ一閃。逸ノ城は遂に土俵に倒れる。機を見る眼、休まない攻め。逸ノ城の立合いは明らかに白鵬と比べれば高く無策で、まずその時点の差から決まってしまったような白鵬の完勝。
流石は横綱白鵬、やはり現時点での力量の差は圧倒的なものがあった。正直改めて、これが横綱かと…。以前、白鵬と関脇把瑠都の全勝対決を大阪で見たときも似たようなことを思って、あのときと同じく思わず「横綱!」と叫んでしまう感じ。最近白鵬にやたらケチつけたりしてましたが、この日ばかりは感謝すらしたいキモチです。考えると、角界の第一人者というのは大相撲全体にとっても我々見物客にとっても精神的支柱であるものなんだなと。千代の富士が貴花田に敗れたときというのはまさにその支柱が崩れ去って時代が変わり、群雄が割拠した。そういえば千代の富士は幕内2場所目の小錦にも敗れているけど、あのときはまだ第一人者というほどではなかったか。優勝も争ってなかったし。
そういうわけで結びの一番だけで大盛り上がりの14日目でした。そのあとはさらにnoogooさんら2人が加わって10人の一団で江戸沢行ってちゃんこゥフ(実質ライムサワーオゥフ)と相成りました。反対側の席同士でも捗るラブライブトーク。横綱コースうまかった。去年にも増して充実の相撲ゥフ、参加者の皆さんお疲れ様でした。
翌日の千秋楽で白鵬の31回目の優勝が決まったわけですが、白鵬も今場所はあの最低最悪としか言いようがなかった5月場所のような低調ぶりでもなく、判断の早さが際立つような内容もあったけど、千秋楽の相撲がやや固くピリっとしなかったので総合すれば普通か少し上ぐらいの出来になるか。5月7月と目も当てられない相撲が少なくなかった中だったので、そこそこ復調はしているのかなと。1月のような見事な優勝がまた見たい。ほかの上位陣は特にコメントすることが…ただ豪栄道は調子は出ないなりに、関脇時代にしょっちゅうあったような底の見えないような内容の悪さというほどではなく、普通に取って普通に負けている。場所前の膝のケガなども考えれば勝ち越しに乗せただけでも今場所は良しとしてもいいような気はする。平幕では勢が目立ってて、実際今場所は左右両方からの攻めが効いていたと思いますが、これを新境地ととるか勢いに任せた攻めととるか。嘉風は負け越したものの、昨年からのいい流れは継続している。豊ノ島は休場してなければたぶん勝ち越せていた。そして逸ノ城。パワーと体格、新入幕であの落ち着き。技術はまだまだで、投げや叩きは強引なところもあるけれど、伸びしろはまだまだある。来場所は当然上位総当りなので、さらに真価が試されるところ。で、この逸ノ城の影に完全に隠れたのが照ノ富士、遠藤、大砂嵐でして、揃って負け越し。特に遠藤は淡白でしたねえ。前に落ちる相撲が目に見えて多かった。入幕時から立合いの鋭さ、馬力という課題がある中で、色々試行錯誤はあるんだけど目立った成長が見られない。そうこうしているうちにあの柔軟な足腰が失われなければいいんですが。40歳0ヶ月での幕内勝ち越しを達成した偉大なる旭天鵬も忘れてはいけない。北の富士さんが「40まで見たい」と言い始めて何年経ったんですかね。今場所は旭天鵬といい逸ノ城といい、昔の記録に触れる機会が多くてそういう意味では面白かったですね。
来場所の番付予想。逸ノ城の新関脇昇進は固い…。その逸ノ城を先場所連破し、今場所は十両で全勝優勝を飾った栃ノ心の復活も期待がかかる。新十両では達の昇進は千秋楽に入れ替え戦を組んだことからもまず決まりと言っていいと思うのですが、正直なところやっと来たかという。入門時から注目されて幕下まではすごい勢いで来ていたと思うけど、上位の壁が厚かった。時間かかった印象はあるとはいえまだ20歳ですし、どこまでやれるか見ものですね。