リスアニ!LIVE 2021

とーやまさんが見たいなあと思ってなんとなくチケットを取ったのでした。一般チケットなので2階の一番後ろ。なんとなくとは言いつつ割とはっきりした目的があって、ご多分に漏れず「東山奈央28ちゃいで〜す」が聞きたくて。

シンデレラガールズのライブも数年行っていないので、曲は初見のものがほとんど。ただそれでも1曲目が始まるともう、距離が遠すぎて顔は見えないのに、ステップの踏み方と拳の振り上げ方で左から2番目がなおぼうと分かり、これだけで自分にとっては十分だなあと。なおぼうはソロデビューする前からいくつか声優ユニットをやっていましたが、とりわけシンデレラガールズの大所帯の中では若さに似合わぬ存在感(キャラが28ちゃいだからか)が際立っていました。ふだんもう少し距離の近いイベントで見ているだけに、幕張メッセやSSAといった大舞台に立つたびそれを頼もしく思っていたものです。今回はメンバーの人数はやや少なく、年齢は相応なところまでに追いついたのかもしれませんが、やはりあの頃と似たような感覚を思い出して、少しぐっと来てしまいました。ということを書き残しておきたかったので今書いています()

曲はといえば、ほとんどの曲がボトムの効いたロックテイスト。これらが生バンドの演奏で映えないはずがなかった。なおぼうと花井美春ちゃん(かわいい)のユニット、フォーリンシーサイドが歌ったGaze and Gazeは歌割りが1番と2番で完全に分かれていて、そこでカラーがはっきりと変わるのが面白かった。なおぼうの川島さんボイスも、昔より自然に聴こえます。どの曲もいわゆるアニソン的なロックと少し違うのがいいですね。曲の魅力が正しいやり方で引き出されて、シンデレラってこんないい曲があるのか!と改めて。と思ったら、1曲ミリオンライブの曲も混じっていたらしいですが(この時だけ驚きの歓声が上がった)。

最後の曲はいつかどこかで聴いた曲……EVERMOREでした。始まる前はこの場でおねシンとかやるのはなあ、みたいに思ってて、新しめの曲が続いたのでそれはそれで良かったのですが、そんな中で最後に知ってる曲(それも比較的新しい)が来たときの安心感たるや。セットリストとしても完璧です。これも6人ならではの歌割りになっていて、以前聴いたときよりも距離が近く、曲のイメージがくっきりとした印象を持ちました。前に聴いたのはSSAなので実際だいぶ近いのだけど。この曲の歌い出し「ずっと憶えてる はじめての日のステージ」で、このライブの出演が決まった時のなおぼうのブログが思い出されて……22歳のなおぼうが川島瑞樹として初めて出演したシンデレラガールズの2ndライブは、僕にとっても初めてのシンデレラのライブでした。この時点ですでに会場は代々木第一体育館という大舞台でしたが、これからもっと大きくてすごいことが起こる、その胎動のようなものが確かに感じられたライブ。あの時見た景色と、今なおぼうが川島瑞樹としてここにいるこの日この瞬間が、ようやく糸と糸で結ばれたように感じられて、なんだかとても熱い気持ちになったのでした。来てよかった!

降幡愛 スペシャルライブ 「Ai Furihata “Trip to BIRTH”」

年明けてからどこにも行っていなくて人間性が無になりかけていましたので、人間性を回復するには音楽しかないのだ、ということで降幡さんのライブに来てみました。去年ビルボードライブで最初にライブをやった時の評判は聞いてたので、生演奏をじっくりと楽しめたらいいななどと思いながら。一般でチケットを取ったのに座席が2列目だった。2月18日夜公演。

大元のコンセプトの時点で特定の音楽性を強く志向しているアーティストイメージ、みたいなものが正直得意ではないのですけど、降幡さんの場合はその振り切り方がある種清々しく、逆に楽しく聴くことができます。「真冬のシアーマインド」のビデオとか、もう面白すぎるでしょ。これは本人が好きだからできることであるなぁと思うわけで。わたし自身は1980年代をリアルタイムで通過した世代ではないのですが、音楽の原体験がザ・スクェア、ユーミン、森高あたりなもので、80年代的な仕掛けが聴こえると遺伝子レベルでつい身体が反応してしまうのはたしか。

ライブでもそういう方向性は一貫していたように感じます。リバーブのかかったヤマハDX(風)サウンドがまずもって1980年代感を強く醸成させ、硬質なビートとチョッパーベース(あえてスラップと言わない)、クリーントーンのカッティングに身体が自然に揺さぶられつつ、ボーカルに絡むようにそこかしこに挟まるオブリガートも痒いところに手が届きまくっており、生で聴くと尋常ではない爽快感。基調としてはそんなところですが、YMOみたいなオリエンタルフレーズが散りばめられた桃源郷白書とか、スカっぽいアップテンポリズムでサックスとオルガンが前面に出るYの悲劇みたいな、こってりになりすぎず飽きさせないエレメントもあり。Yの悲劇はライブ向きの振り付けもあって楽しめます。バラードナンバーに目を転ずれば、OUT OF BLUE 2サビでの熱いディストーションギターなんてお約束すぎて随喜の涙を流さざるを得ません。

また、加えてすばらしいなと思ったのはコーラスがいることで、メロディの重厚感によって80’sっぽさがさらに際立つ。そのコーラスのミキティさんがフロントに出てくる場面。ツインボーカル、しかもスタンドマイクという時点でカバーするアーティストがばればれ、ということでユニット「まばたき」として愛が止まらないを披露したり。オーラス真冬のシアーマインドに至り、降幡さんとバンド全員(キーボードのnishi-kenさんも!)でツーステップを刻み始めるところまであまりにコテコテ。降幡愛さん、お約束を果たしすぎている。

全体を通して何がいいのかというと、これだけの要素をしっかり消化した質の高いアンサンブルを間近で体感できるという安心感かなと。てんこ盛りの80年代エッセンスに対し、(マニピュレーターはいるにしても)不釣り合いなぐらいにシンプルな編成ですが、だからこそ出てくる音はそんなエッセンスを一塊にしたような凝縮感がありました。そして何より、降幡さんのステージ上での躍動がいいんですよね。普段着の彼女とはひと味違った、楽曲の世界に溶け込んだボーカルと佇まいは彼女の役者・パフォーマーとしての面目躍如たるものがあります。先に書いたように、好きだからこそここまで突き詰められるのだなーということがとても感じられるステージでありました。カクテルも引っ掛けていい感じにぐでぐでになりながら体動かせて楽しかったー。

SETLIST

  1. パープルアイシャドウ
  2. RUMIKO
  3. ラブソングをかけて
  4. 愛が止まらない 〜Turn it into love〜
  5. 桃源郷白書
  6. OUT OF BLUE
  7. Yの悲劇
  8. SIDE B
  9. ルバートには気をつけて!

Encore

  1. CITY
  2. うしろ髪引かれて
  3. 真冬のシアーマインド

東山奈央 10thアニバーサリーライブ Special Thanks!フェスティバル

声優さんのイベントは12月にして今年初でした。なおぼうに会うのも1年以上ぶりです。

何年か前までは、僕はなおぼうの出る作品は全部見て、なおぼうが出るイベントはできる限り行ってという生活をしていたので、普通の人よりは東山奈央について見聞きしてきたとは思います。そういう人間にとってはひとつのご褒美というか、プレゼントみたいなライブでした。

ここで歌われたほとんどすべての曲について、作品、キャラクター、それらに対してなおぼうが語ってきた言葉、イベントで見た光景…多くの大切な思い出があります。なおぼうが言うように、キャラソン自体はリリースされてから時間が経っているもの、作品のメディアミックス展開が終わってからは半ば眠っていたものが中心です。それにもかかわらず、僕が心を打たれたのは、披露されたパフォーマンスとそれに伴うなおぼうの言葉が、作品のリリースやイベントがあったのがつい何ヶ月か前のように感じられるような近さをもってこちらに届けられたことです。

キャラクターをステージ上に呼び寄せることはもちろん、ほぼ全てが再現された歌やダンス、さらには作品のイベントだけでやっていたパフォーマンスまで、過去の記憶との繋がりを感じさせるに十分以上のものでした。そして、MCでのなおぼうの言葉が、歳を重ねたことによる、あるいは作品が進行したことによる視点の違いはあったとしても、一番芯のところではずっと変わらないものを秘めていることもわかります。昨年のツアーでファンに対する言葉でそれを感じたように、過去の作品やキャラクターに対しても、連綿と変わらない想いを持ち続けている。それがわかることそのものが、(普通の人よりは)なおぼうの色んな一面を見てきた人間としてはご褒美に感じられました。それと同時に、僕がなおぼうの進む道を追って歩いて過ごした4年間が、宝物のように輝きを放ち始めるのです。

振り付けで時間を当時まで一気に引き戻された「Expose」ウェーブのくだりでイベントやラジオの思い出が蘇る「ブルースケジュール」懐かしいなおぼうの分身たちの息遣いを今に感じられた「Secret Cafe」一度でもライブで聴くことはもう叶わない思っていた「Dearest Wish」色んな場面で(そしてこの日も)聞いたなおぼうの暖かい言葉がずっと残って離れない「これから」…思えば遠くに来たのかもしれません。

そして、7年近くも前に「かのんちゃんにはなれなくても、いくつもある星の一つになればいい」「かのんちゃんという星の隣で輝けるようになりたい」と言って、中川かのんと別の道を歩み始めたなおぼうが、今回は「かのんちゃんと並ぶ二つ星」として「中川かのん with 東山奈央」として歌った「ハッピークレセント」。自分としてもあの日見た夢が叶った気がしたし、なおぼうが確かな自信を持ってそう言ったことに対しても、この7年間の一歩一歩の積み重ねが感じられて、心がいっぱいになりそうでした。

なおぼうのファンでよかったと心から感じられる、素晴らしいライブでした。人生のある一時期を、なおぼうとともに過ごすことができてよかった。今現在、以前ほどは彼女を真剣に追いかけていないとしても、いくつもの綺羅星のような記憶が自分の中に消えずに在って、それを思い出せることが自分の中でかけがえのない財産であることを気付かせてくれたように思います。

あの日と同じように、またこの曲を。

歩いていくもん 歩いていくもん
喜怒哀楽全てを 抱きしめて進むんだ
みんなの記憶が 背中を押すんだ
儚く 愛しい 明日へ

– 中川かのん starring 東山奈央「歩いていくもん」

昔から本当に、なおぼうには安心も驚嘆もさせられっぱなし。これからもよろしくお願いします!