久しぶりの東京両国大相撲。記事を見ると4年前の夏場所13日目が最後になっていますが、その間は一昨年の夏の14日目に見に行っています。でも本場所はその1回ぐらいの話で。この数年の相撲人気もあって、本当に見に行ける機会が減りました。いま、タイトルを「平成」から書き出してしまって、このタイミングで平成の大相撲の終わりを感じていたり。この2年の間で自分が10代の頃から見ていたような力士が数多く去って、(番付上には古株の両横綱も載ってはいるけれども)顔触れが様変わりした中での9月場所。
予定より少し遅刻したので14時半過ぎくらいに入場して、まず消毒とサーモグラフィカメラによる検温。売店はほとんどやってなくて、一角だけ(それ以前にこの時間だとほとんど売り切れている)。いつものちゃんこ屋台とか、親方絡みのイベントみたいなのもありません。そのへんは親方YouTubeで、というところでしょうか。この飾り気のなさは9年前の技量審査場所を思い出しますが、人が少ない分、今回の方が寂しく感じる。一番残念だなあと思ったのが、相撲博物館が開いてないことです。うーむ。
アリーナに入って席に着いても、常時係員が見回りながらマスク着用のお願いをしていたり。なんとしても感染者を出さないという強い意志を感じる…(2回目)時間的にはもう十枚目取組に入ったころだけれど、人も少なくて歓声もないので、まだ幕下上位より前の雰囲気のよう(最近はもう少し人が多いのかもしれないけれど)。淡々と進行していきます。
肝心の相撲はというと…いまひとつ淡白な内容が多い気がします。特に土俵際で逆転を食うという相撲が目につく。出稽古以外は概ね解禁されているとはいえ、調整不足を引き摺ったままという印象。それに乗じて持ち味が出せていたのが翔猿なのかも。軽い身のこなしで動いて躱して捌ききる。この日も隆の勝の重い突き放しを受け流しながら横に着き、廻しに手を掛けつつ送り出す。若いころの嘉風を彷彿とさせるような動きの激しい相撲です。これが「若いころの」ではなくて、「ベテランになってからの」であれば、楽日は優勝決定戦が行われていたかもしれない。他には、あの大きな碧山と胸を合わせる形になってもグイグイと上手から攻めて寄り切った琴恵光の右四つや、徹底して頭を下げて右から左からおっつけながら松鳳山の両差しをついに許さず最後は極め出した志摩ノ海のしつこい相撲などが光っていたように思います。
優勝争いは結び二番。まずは貴景勝に正代。貴景勝の突き放しは強烈なのですが、正代はこれにのけ反りながらも腰が崩れない。貴景勝が高いわけでもなく、正代も低いわけでは決してない。それでも正代があの反り腰で貴景勝の攻めを吸収しつつ、足が揃ったところをタイミングよく突き落とし。これは正代の守りから入る特徴が出た一番でした。
結びは朝乃山に御嶽海。相変わらずムラの激しい御嶽海ですが、たまに実力者を破って優勝争いを掻き乱したりもするので、そういう役割を期待するところ。しかしながら、立合いすぐに朝乃山が右を差し左上手投げで勝負あり。あまりにも簡単に投げ捨ててしまったので館内が一瞬どよめくほど。朝乃山はこれで3連敗のあと10連勝、加えてこの日の内容が翌日の朝乃山 – 正代に俄然期待を持たせて打ち出しとなりました。
過去の記事を見返していて。ちょうど10年前の平成22年秋場所13日目に行っていました。横綱白鵬最高の相撲の一つであろう把瑠都戦での60連勝達成を見た日。それから10年が経って、主軸以外が存在しないのではないかと思えるほどに圧倒的な主軸がいた時代から、主軸がいないどころか主軸となりそうな候補すらぼやけている時代へ。どちらがよいかというと…もう少し様子を見ましょうか。次はもう少し間を空けずに来れるとよいなと。