音楽2013

1年に1度の音楽レビューもどき記事、例によってドラフトのまま放ってた2013年ベストCDですが、今年も3月に公開。忘れてたとも言う。絞りに絞って3枚。単純に枚数が買えなかったとも言う。

Derrick Hodge / Live Today(2013, Blue Note)

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ブルーノートがこの1、2年、社長が代わったことで新しい方向に舵を切っていて、その一つの結実を見たかなという作品。R&B、ヒップホップ、ソウルとジャズとの融合ということで、最近新たなファンを獲得しているこのレーベルですが、その嚆矢になったロバート・グラスパーは音楽自体は良質と感じるものの、ジャズという文脈では聴けるかというとそうではなかった。このデリック・ホッジはジャズ耳にすっと入ってくる仕掛けがあって、親しみやすく、より上に挙げたようなジャンルとの融合というのが自然に聴こえる。たとえば、シンセの音色なんてジョー・ザヴィヌル=ウェザー・リポートみたいな香りを感じるわけです。以前、東京ザヴィヌルバッハを聴いたとき、シンセはウェザー・リポートで、オルガンはマイルス・バンドで、エレピはヘッド・ハンターズのようだと思ったのですが、TZBは明らかに現代版エレクトリックマイルスをやろうとコンセプトなのでそれはそれとして、そういうミュージシャン本人が受けた影響、それはジャズ、フュージョンに留まらず、ブラックミュージック全体、ロックなんかも大きく包括しつつ、時代的、感覚的に平行化させて、一つの新しい音楽をつくることにこの作品では成功していると。ホッジははじめとして、演奏者それぞれが持つニュアンスが融け合うアンサンブル、一貫したリズム、グルーヴ。これが本当にジャズかと言われるとよくわからないが、少なくともジャズ耳で聴ける範疇の音楽ではもっとも同時代性を感じる音楽。

John Hollenbeck / Songs I Like a Lot ( 2013, Sunnyside)

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だいぶ年の初めのほうに買ったのでかなり聴いた一枚。ビッグバンドを率いてのジョン・ホレンベックのカバー集。選曲はグレン・キャンベルのスタンダード”Witchita Lineman”からクイーン、さらには竹村延和まで多種多様だが、ホレンベックの(クローディア・クインテットみたいな)独特のオーケストレーションが施されていて、まったく自然にホレンベック・ミュージックとしての統一を果たしている。ホレンベックは同じくドラマーのジム・ブラックなんかと並んで現代ジャズの中ではかなり独自の音楽性をもったミュージシャンだと思うが、重厚ながら心地良い、このアンサンブルのカラフルさは一時期のメセニーのようでもある。コンテンポラリー・ミュージックってこれのことじゃないだろうか。これも、各方面からの音楽的影響を平行的に感覚するということが見えるアルバム。

Local Natives – Hummingbird (2013, Frenchkiss)

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アメリカのインディーバンドの2nd。ボトムの効いたドラムが性急なリズムを敷いて、それに空間系エフェクトとともに重厚にかき鳴らされるギター、温度感表裏一体のピアノ、ヒリヒリとした痛みのあるボーカルが乗っかってメランコリックなメロディを歌う、ドリーミー浮遊インディー・ポップロック。楽曲自体のキャッチーな良さもさることながら、この「落ちていきながら浮遊する」感覚のサウンドが好みすぎた。ゆったり浮遊してるんじゃなくて、リアルな風のスピードを感じるような。どう聴いてもナイーヴで引きこもりチックな音楽なんですが、引きこもる中に小宇宙のような奥行きがある…。

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