私を構成する9枚

2週間ぐらい前にTwitterのタイムラインでいくつか見たやつ。そういえば忘れてたけど俺CDを買い集めるのが趣味な音楽オタクだったし、そこそこ選べるじゃん?というわけで流行りに乗っかって選定。

2016-01-28 23.43.15

上段左Somewhere Called Home / Norma Winstone(1986, ECM)
ノーマ・ウィンストンとジョン・テイラーといえばアジマスだが、このアルバムはリード楽器が入ってるのがアジマスより好き(ケニー・ウィーラーが嫌いなわけじゃない)。ピアノ/ヴォーカル/リードという編成は永遠に聴いていけるフォーマットだと思う。泉に流れる水のようにすーっと耳に入ってくるウィンストンのヴォーカルとテイラーのピアノ、トニー・コーのクラリネット/サックス、それぞれが静かに深淵まで沁み込んでくる。至高の心地良さ。しょっちゅう寝る前に聴いてます。

上段中央The Jazz Composers Orchestra(1968, JCOA)
高校時代に読んだ(今はなんのライターなのかさっぱりわからなくなった)原田和典さんのジャズ本でセシル・テイラーの名演として紹介されていて、その記述がユニークで面白かった。それで実際に聴いてみると、その記述がまったく間違ってないのが余計に面白かったという。たしかにテイラーの手足は「蜘蛛と化している」としか思えないし、「全身から炎をむき出しにしながら」決闘を行っているにちがいない。そのくらい強烈無比な演奏で、今聴いてもその印象は薄れることがない。1970年代のフリー・ジャズのショーケースとしても聞ける。

上段右I Sing The Body Electric / Weather Report(1972, Columbia)
ジョー・ザヴィヌルがウェイン・ショーター、ミロスラフ・ヴィトウスと組んでやりたかった音楽-つまりSilent Wayの延長線上にあるもの-の完結。2ndアルバムにして、だ。ジャコのいるウェザー・リポートも楽しいけど、それはそれである。3者の音楽性が真正面からぶつかり合う様は、新しい音楽の形が次々と生まれていった70年代前半のカオスそのもの。実験室さながらのスタジオ録音パート、時代の熱を伝えるライブパートの両面で、そのダイナミズムが余すところなく味わえる。

中段左DIVE / 坂本真綾(1998, ビクターエンタテインメント)
自由でイノセントで何も背負うものがない坂本真綾がいい。この次のLucyで歌っているのはもう大人になった真綾だ。透明度99.9%ポップの1stアルバムよりややダウナーになって、個人的な好みは本来なら1stのほうなのだが、アルバムのラスト「孤独」と「DIVE」が自分にとって大きいんだな。ここで歌われるような痛みも含めて、なくしてしまってなお自分が忘れたくないものが詰まっている。ちなみに僕が一番好きな曲は「ボクらの時代」です。

中段中央On Broadway Vol.4 or The Paradox of Continuity / Paul Motian(2006, Winter&Winter)
見よ、耳の中を縦横無尽に駆け巡る昇り龍が如きこのクリス・ポッターのサックスを。我こそ21世紀のSaxophone Colossusであると言わんばかりのこの風格を。五感すべてを開放せんとするポッターのサックス、そこに絡むPooさんのピアノ、レベッカ・マーティンのヴォーカルとの相性は群を抜くどころか奇跡的なレベルと言っていい。それらをコントロールするモーシャンのパルスが絶対的な存在感を放つ。ただ辛口めのスタンダード集というだけでは終わらない。ジャズという音楽のもつ引力をこのアルバムは秘めている。

中段右Proverbs and Songs / John Surman(1997, ECM)
音響空間としてのキリスト教建築には、演奏されているのが教会音楽でないとしても、何か神聖なものを纏わせるような機能がある。ここで演奏されているのはジョン・サーマンのコンポジションによる聖書を下敷きにした組曲で、重厚なパイプオルガン(これまたジョン・テイラー)とコーラスに乗せてサーマンがあの素朴ながら雄大なトーンをソールズベリー大聖堂に響かせる。空間に漂う甘美な残響。ああこれがThe Most Beautiful Sound Next to Silenceなんだな、とECMをまず一つ理解した気がした18歳だった。90年代のECMは掘り出しものが意外とある。

下段左New Adventures in Hi-Fi / R.E.M.(1996, Warner)
R.E.M.にしてはフツーのロックをやっているということでなんだかあまり目立ってないアルバムな気がするが、とにかくサウンドメイクが素晴らしくて、僕の中のインディーロックのメルクマールみたいなものとなっている。アコースティックに振ったりラウドに振ったりという90年代のアルバムの中にあっていちばんニュートラルでバランス感覚があるし、このバンドの持つカントリー/サイケ・テイストもメロディとアレンジの中にストレートに表現されているように思う。ニュートラルでストレートだが、それでも全体に通底する重く浮かばない気分もまたR.E.M.らしい。

(インディー/オルタナでいうとRadioheadのThe Bendsも迷ったのだが、このアルバムにまつわる個人的な思い出が陰鬱すぎる故、カット)

下段中央Night Songs / Ferenc Nemeth(2007, Dreamer’s Collective)
クリス・チークとマーク・ターナーという2人のサックスの醸し出す不穏なトーンと着地点の見つからないまま浮遊し続けるフレージング、それにリオネル・ルエケの独特のポップ感をもったミュートギターサウンドが一捻りを加える。リズムもコンテンポラリーなアプローチでフロント隊に応じる。リーダーのフェレンク・ネメスのコンポジションも光るし、唯一自作曲でないのがウェイン・ショーターのE.S.P.だったりして、そこだけでもこのアルバムの宇宙遊泳的方向性が伝わってきたりもする。現代ブルックリンジャズの2006年時点での一つの流れを切り取ったショーケースであり、自分が考える「同時代性ジャズ」にもっとも近い形でもある。

下段右Bagatellen Und Serenaden / Valentin Silvestrov(2007, ECM New Series)

テーマとしては、タイムレス/エバーグリーンなマスターピースってところっすかね。死ぬまで聴け続けられるであろうこと、初めて聴いたときの感覚が思い出せること、印象がフレッシュなままであること。ちょっとは悩んだけど、だいたいは日頃聴いてる中で常々そう感じてきたアルバムなので、時間はかからなかった。まぁ、音楽ファンは廃業したとかなんとか言ったけど、このセレクションは自分の人生の積み重ねの結果であって、自分のアイデンティティそのものでもあるんだなこれが。自分が積み重ねてきたものがあって、それを振り返ることができることに嬉しさを感じるし、この9枚を選ぶことができる自分で良かったとも思う。だからやめるやめないではなくて、人生が続く限りこの9枚は更新され続けていくはず。去年10枚ぐらいしかCD買ってないけどな!むかし、よく見ていたジャズ系音楽サイトの掲示板にいた諸先輩が突如一斉にPerfumeにハマりフェードアウトしていったことがあったりして、今まさにわたくしもその段階にあると言えましょう。オタクは推し事に忙しい。んな感じで音楽こそすべての生活ではないのは確かだけど、でもまた戻ってくるよ。

にしてもモノクロジャケット多すぎだろ(笑)自分の撮りたい写真もこういうのですよということで。

音楽2014

毎年ダラダラと書いてるこのしょぼい音楽記事ですが、2014年はほとんどCDを買っておらず、特に書くこともない気はする。新譜なんて数えるほどしか聴いてないし、いちおう音楽リスナーを自称してたけどそうも言えない状況になりつつあります。ただそんなことを言っても、音楽を聴く時間が減ったわけでもなく、聴くものはPCなりiPodなりに入っているので今まで買ったものを色々と聴き直してはいた。

そういうわけで音楽2014。

○Valentin Silvestrov / Bagatellen und Serenaden
(2007, ECM New Series 1988)
シルヴェストロフという作曲家は、2007年頃にNHKでやっていたヴァレリー・アファナシエフを主人公としたドキュメンタリーの中で演奏されていて耳に残ったのだった。ここまでシンプルにノスタルジーを喚起させる音楽とは。こうした音楽はややもすると陳腐に聴こえてしまうかもしれないし、ここに収められた作品群も演奏次第ではそうなってしまう危うさを孕む。ここで聴かれる演奏にはシルヴェストロフ本人とアレクセイ・リュビモフによる透徹したコントロールがあり、マンフレート・アイヒャーの未だ鋭い美学も生きている。バガテルではピアノが強烈に「いつかどこか」を呼び起こしたかと思えば、続くエレジーやセレナーデでは融けるように録音された暖かなストリングスが聴者を幸福な孤独へといざなう。波のない海で覆われた惑星に、ただ一人浮かんでいる感覚。冷たく色のない世界。その中心である私だけが暖かさを知っている。甘い郷愁に引き寄せられながら、意識は遠のき埋没していく。この作品集を聴いて何が想起されるかは聴く人それぞれによるところで、その時その時に心から遠くにあるものが立ち現れるのだと思う。ある意味で自殺的な、そういう危険な音楽である。
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結局は、この音楽を聴いてわたしは幸福であるという事実が重要なのではと。ジャズを聴くにしても1、2年前からモダン・ジャズ回帰的なところはあるし、高1のときにセシル・テイラーを聴いてからそれこそJazz Advanceと言わんばかりに前衛であることに一つの価値をおいていたけど、最近そういう精神が薄くなってきたというか、1960年代にゴリゴリのフリージャズをやっていた人が老いてからまるーいジャズをやっているのはなんでなのかと思ってきたが、今まさしくそういうジャズプレイヤーの気持ちだ。クラシックの場合も同じような状態なのかもしれない。かといってマネリのインプロとかクセナキスとか聴いたときの脳が活性化されるような感覚はやはり何物にも代えがたく忘れられないのであり、つまり音楽中毒になってはいけない。

2014年のベストライブ。

○20140222 – 中川かのん starring 東山奈央
去年はアイドルアニメをけっこう見てたけど、アイカツ99話でのWMのステージ。あれと同じだよなと。ラブライブ2期9話なんかもそうだし、元はといえば神のみ7話がそうだ。ああいう、思わず言葉を失ってしまうような、終わった瞬間に止まっていた時が動き始めるような、圧倒的な凄みの世界ですよ。あのアンコール2曲で見たものは。アニメを出ればもはや理想でしかないように思われる空間を中川かのん starring 東山奈央は目の前で体現してくれた。アイドルのライブに行ってあんなに幸せなことはないし、むしろそういう瞬間を求めるからこそなのであって。

このライブに行ったのは、ほかならぬ東山奈央本人のステージでの在りように惹かれたからだった。その期待はこのライブでも、それからずっと東山奈央を見ていても、大正解だったと胸を張って言える。2014年の方向性を決定づけた日だったし、自分の世界を変えてくれたんだということ。

本当は年明けてすぐにだいたい書いたんだけど、なんでだったかドラフトにしといてその後2ヶ月ぐらい忘れたまま気付いたらサイト12年目突入してたいつもの流れでした。

あけま

したね?

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年末は忙しくありつつ、まあなんとか31日にはギリギリ収まったという感じです。月末で世田谷の部屋を引き払ったので、12月は準備に追われてまさしく$iwasuでした。その割に直前まで外鯖でUTしまくってたしイベントも行ってましたが。引越し先は実家です。2年弱ほど世田谷というかほぼ調布に近いところで暮らしましたが、京王線が糞の中の糞ということ以外はそれなりに良い住み心地ではありました。今思うと別に引っ越す必要なかった気はしないでもないですが、まあいい経験になったということと、新宿で映画がけっこう観れたのは良かった。

31日はいつもはダラダラと紅白とか見てるんですが、nasneがあるのでミルキィの特番見たりラブライブの特番見たりスクフェスしてたりとだいぶブシロードさんにお世話になってました。その前に紅白のT.M.Revolution x 水樹奈々は見ましたけど、あれなら別に紅白出なくてもいいかなぁという感想です。パフォーマンスは悪くなかったし、Preserved Rosesは去年犠牲になってたので選曲はわからないでもないですが、このコラボとしては2014年は新曲はなかったわけですし、それをわざわざ引っ張り出してくるというのはソロ出演に足るインパクトもしくは2013年のコラボに勝るインパクトが今年はなかったというNHKの評価なのではないかと。個人的にはそんなことはないと思っていて、最新シングルに入っているBLUEという曲はシンガー水樹奈々の面目躍如というべき佳曲だし大晦日に紅白でというシチュエーションに堪えるものがあると思っていたのですが、なんかこうシングル表題じゃないと歌えない縛りでもあるんでしょうか。まあ、いつまで経っても奈々ちゃんにとって紅白は夢の舞台だと思うので、その限りはいつまでも出続けて欲しいですし、そのためにわれわれにもそう思わせて欲しいってことですよね。

んなことウダウダ考えてましたけど、ちょっと前にアニサマの放映分をやっと見て、やっぱあの時のコラボ2曲は凄かったなと。2人で歌ったライブテイクではたぶんあれがベストなんじゃないか。2人でステージに立った時の最強感がこのコラボの真骨頂だ。最近あんまり自分の行ったライブを映像で後から見ようと思わないんですけど、3日目のやつは現地で自分で感じたことそのままが映像として現れていて、あのときの印象はそこまで間違ってなかったと思えたし、ちょっと感動すら覚えるというか。ゆいかおり、このみん、OLDCODEX、μ’s…。あの日は楽しかった。そのほかにも1日目のWUGちゃんとかスタアニちゃんとかなおぼう一人舞台だった艦これとか見たかったし、2日目はアイマス目当てだけでも十分行けたなと思ったり。とか言いつつ去年に増して集金地獄度の高い今年のアニサマの先行に早速ゲンナリしてますね。

珍しく元日のうちに初詣に行ったのだった。
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冬で日が短いからか最近やたらと暗いシーンで写真を撮ることが多い気がして、F2.0以下の単焦点が欲しくはある。絞り開放で撮らざるを得ないシチュエーションが多いし、開放で感度上げてもSS1/10~1/20秒とかそういう世界で、全体的に甘い画になるのがなんとも。手ぶれ補正なかったらたぶん見れる写真ないですね。とは言うもののこのキットレンズ、キットなりにそこそこ使えてしまったりする。AFは速いし絞ればけっこう解像する。開放絞り値はまあ標準キットズームらしい値だけど、ボケはテーブル上のものを撮るなら必要十分だ。おまけに軽い。そのおかげで今までレンズ買ってないとも言える。メーカーからしたらありがたくない客ですね。買うとすれば換算50mmの標準域と今ある標準ズームの広角端と望遠端に近いところとで3本くらいにリプレースすることになるので、まーだいぶ先の話ですが、そもそも25000円で今のカメラ買って使ってるので何を買っても高く感じるというのが割とアレ。